フランク・ボーマン
フランク・ボーマン
▼映画『2001年宇宙の旅』

見た。
以下ネタバレ含む。

思っていた以上に・・・いやかなり、小説版に近かった。
もしこれが「小説を原作とした映像作品です」だったならけっこう忠実だなと思えたんじゃないか?ってくらいに。

じっさいには映画はアーサー・C・クラークとスタンリー・キューブリックの共同脚本で、小説と並行して作られ公開も先。
結末もクラークがキューブリックに複数提案したなかで選ばれたものらしい。

しかしやはり言われているように映画単体では意味不明であろう箇所が多々あった。
先に小説を読んだ身としては「ああここはあれかー」「おー想像してたのと近いな」って楽しめたところも、最初に映画を見ていたら「なんのこっちゃー!」なっていただろうなってのは容易に想像できる。

でもだからといって、もし『2001年宇宙の旅』を人に勧めるとしても「先に小説版読んでおいたほうがいいよ」とも言いにくい。
なんなら先に映画を見ていたかった気もちょっとあって、こういうとき思い出すのはやはり、

”そして空のすべてを見た時に 人は空を殺してしまうのだ”

という谷川俊太郎の詩『空の嘘』だ(いまだに詩ってものがよくわかってない身でこんな引用するのもどうかと思いつつも)。

ざっくりいってしまえば先に映画をみた場合に想像したであろう解釈は、今となってはできない、ってことで。
実際この映画もわからないからこそ引き付けられた人が多くいて、さまざまな解釈で盛り上がった事実がある、らしいし。
「作り手の意図したところでない解釈をするのは映画を正しく見てるといえない」みたいに言った映画評論家もいて、それはそうかもとも思うのだけど、わからないからこその解釈の広がりも楽しみ方としては持っていたいところで、自身の解釈と作り手の意図、両方もてるならそっちのが得だとも思う。

とにかく小説版を元としてみると「意外にも忠実だな」となったわけだけど、ここはちがうんだってなったところもあった。

・小説版の最終目的地は土星の衛星ヤペタスだったのが映画版では木星(小説版も当初は木星を目指していて真の目的地は隠されていた)。
・小説版ではフランクの死体を回収しに行ってない(でも「手を振ったように見えた」描写は一瞬ながらも映像化されてた、気がする)。
・冬眠乗組員に対するHAL9000の殺しの手口が映画版のがダイレクトアタック。
・知性を奪われていくHAL9000が映画版だとはっきり『恐怖』を感じていると言う(ボーマンの情に訴えるのが目的で実際はそのような『感情』はないという解釈もできそうだけど)
・最後のボーマンの進化過程(準備?)が小説だと記憶が逆行していく感じだったのが映画だと肉体の老化を経てになっている。
等々。

あと映画だとしょっぱなのモノリスによる猿人教育がものっそいはしょられている。
小説だとモノリスが猿人を遠隔操作していろいろ新しい動作を教える描写があるのだけど、映画だと映像と音楽の力のみで押し切っている感。
でもあの押し切り具合、きらいじゃない。
なんか、ファー、ファーーーー!!!(音楽)で、骨ウッキャウッキャーで、うおおおおお!!!!!!・・・てなるから、充分。

HALの暴走については、小説の説明だと、ボーマンとフランクにだけ旅の真の目的が隠されていることによってHALのなかに真実と秘密の葛藤がうまれ、ミスを起こすようになり(しかし人工知能はミスを認めることができない)、それを理由にシステムを切断するといわれ、自己防衛で乗員を殺しはじめたとなっている(でもフランクを殺す直前はまだHALは深刻な疑いをかけられていなかったようにも思う・・・あれもミスの内だったのだろうか)。

真の目的とは地球外生命体の調査で、ボーマンとフランクは長旅のあいだ地球の一般人とも通信を行うため秘密にされており、目的地についてから報される予定だったのだ。

このへんは映画だけだと、なんとなーーく・・・・・・わかる・・・だろうか?って作りだったように思う。
まあ、HAL故障したんだな、こういう状況で人工知能イカれたらめっちゃ怖いな、ってだけでも充分だったようにも思うけど。
むしろ個人的には映画版をみて、コンピューターは完璧っていうけど、考えてみればそもそもが完璧ではない人間が作ったものなのだから、コンピューターの完璧さもまたあり得ないってことになるんじゃないだろうか・・・という考えがうかんでもきたし。
HALが人間の完璧さを否定したのは、結局自身の完璧さの否定にもなっている皮肉でもあったのだろうかなと。

また後のさまざまな作品の元ネタらしきものの散見も楽しかった。
わかりやすく『ガンダム』のボール、『エヴァ』のシャムシエルにラミエル、『MOTHER』のスターマンとか、きっと他にもいろいろあるんだろう。

とにかく見て良かった。
小説と映画ともに楽しめたというのと、あとたぶん、後の、とくに宇宙やSF関連の作品を見るにあたり、この『2001年宇宙の旅』を知っているかいないかで受けかた変わるところは絶対あるはずだから。
それは元ネタどうこうってだけでなく、そうした作品を手がけるほうも『2001年』ありきで作ることは、自覚無自覚問わずあるだろうから、見る側としてもそれで気づくことは増えるだろうし。
そういうところでまた、この『2001年』を思い返す機会があったら、都度楽しいだろうなと思う。



▼特撮『魔進戦隊キラメイジャー』

お笑い芸人コンビ・かが屋の”かや”がゲスト。
「おー、かやだー」って先週の予告からちょっと楽しみだったけど、内容がそれ以上のインパクトで。
『キラメイジャー』だけでなく近年の戦隊でも稀な不思議回だったのではないだろうか。
それも笑いにふったシュール回とかではなく終始シリアスで。
一見話としてわかりやすくまとまっているようでいて「あれ?でも・・・」な要素が残り、いろんな解釈ができてしまう。

脚本はメインライターの荒川稔久ではなく徳永富彦。
『相棒』をはじめ刑事ものの脚本が多い人のようだけど、そういった人がむしろこういう話を作るのは意外な感じがする。
でも知っている人からすると実にこの方らしい脚本でもあるようで。
昭和のウルトラマン風味といった感想もあって、なんとなくそれは納得できるところもある。

いや思い返してみると、改めてすごい話だった気がする。
だってこの作品においていつも”正解”を出してくれるはずの充瑠(レッド)が・・・ある意味一番不安定に感じられた話でもあったわけだから。
充瑠の見た真実にそえばハッピーエンドなんだけど、視聴者として客観的にみるとそうとは言い切れない作りになっている。

かやが演じたのは引きこもりの青年。
自室で絵や漫画を描いているときと、それを友人の少年に教えているときだけが幸せで、充瑠はいつものようにそこに輝きを見出す。
それもあって最後、青年が今回の戦いに巻き込まれたことをきっかけに変わるといいなと言った仲間に対し「変わらなくてもいいじゃん」と充瑠は強めに口にした、んだと思う。
充瑠自身も絵が好きで、好きすぎて、そのせいで周囲から迫害気味になっていたからこそ、ゆずれなかったんだろう。
たしかに変わることだけが正しいとはかぎらない。
それでも変わらないことで充瑠のように輝けるものもいれば、そうでないものもまたいる。
だからこのとき、そうだよな充瑠もまだ高校生で子供なんだよな・・・とあらためて気付かされた感じがした。

ほとんどの場合に充瑠はひとつの正しさの象徴・戦隊レッドとして扱われてきたけど、この話ではひとりの少年・充瑠の思いの吐露でしかない。
いや今までもそうだったんだけど、その後の展開がそれをひとつの正解だとして見せてくれていた。
しかし今回の劇中の現実では、青年ははたしてそのままで幸せになれたのか、それとも良く変われたのか、はたまた今後も変わらず現実におびえながら生きていくのか・・・は判然とさせないまま視聴者にゆだねるかたちで終わっている。
いつもの『キラメイジャー』らしい「こうだよ」「こうでもいいじゃん!」ではなく、「あなたはどう思う?」っていう非常に異質な余韻回となった。

今までそんなこと考えたことないけど、こういう回が出てきて良かったと思う。
充瑠、そうだね、キラメイジャー正しいね!・・・っていういつもの感じも気楽で心地よいんだけど(実際そう思えることばかりだし)、でも一回ちょっと、目線変えて考えてみよっか?って作品のほうから提示してくれたというか。
なんなら、もうひとつくらいこういう回があっても良かったのかな?って(ここからの話数で入れるのはむずかしそうだけど)。
かやの演技もハマってたし、今後『キラメイジャー』語る上で外せない回だったと思う。



▼ゲーム『マジック:ザ・ギャザリング アリーナ』

まこと細々ながらも続けている。
薄暮薔薇の棘ヴィト、銀打ちのグール、靴かじり、影槍、マルドゥの先導、悪ふざけの名人ランクル、とかそんな感じの黒単デッキで。
レシピ参考にしながらカード集めている段階なのでまだ殺害とかも入ってるけど、そのおかげか低ランク帯だからか相手クリーチャーザクザク処理しつつわりと勝ててる?みたいな。
でも一戦やったらもう疲れる・・・のは変わってない。
メンタルフレイザード、勝ちたいだけだと長続きしなさそう。

いまの参考レシピにないカードでは魔王の器とか使ってみたい。
魔王の器を切削して釣り上げてどーたらみたいなの。
自分なりの工夫をもっと入れられたらより楽しめるんだろうな。



▼マンガ・イラスト練習

指慣らしマンガはいつもどおり。
回想長いな。

ナナチ模写は・・・
先週までに終わらなければ封印する、とか無責任に書いてしまったけど・・・
ここまで描いて!?
だ。

なのでいや、ほんと、今週中に終わらす。
今週中に終わらなければ、消す。
封印しない場合、あなたはこの絵を消す、っていうテキスト。
リクエストしてくれた人に(いや自主的に描くって言ったんだったか・・・)「色も塗ったよ!」って見せたいじゃあないか!

だからもう無責任に封印とか言うのやめよう。
消すもなし。
忘れるから。
忘れて「あ!」ってなってどうせそれ守らないなら意味ないから。
ど素人らしく楽しく描きなさいよ君は。

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