▼映画『スリング・ブレイド』
構成だけをいえばシンプルなだけに、見終えた後には「何を思えばいいんだ・・・」てなった(以下ネタバレ)。
少年時代に母親とその浮気相手を殺した主人公カールが、精神に障害を抱えていたため病院に入り、大人になってから退院。
もどった故郷の町で少年フランクと友人になり、大人たちにも受け入れられていくのだけど、結局フランクの母親の恋人であるDV男を殺し、病院にもどってEND。
なので終盤はもう、結局、え、結局そうなるの・・・いやでも・・・ああ・・・・・・
なので、なんだったんだ・・・と。
カールのこの物語はと。
視聴後考えてから、Amazonのレビューだけざっと見た。
DV男は殺すほどの人?って書いてる人がいた。
それもわかる意見で、男は犯罪者ではないしそこまで激しい暴力をふるっているわけでもない・・・
でもだからこそハッキリとした対処がとりづらい。
男は地元の警察とも懇意らしく、舞台も1996年の田舎町でこうした問題への対応や関心も大分弱そうだし。
母親も「でも優しいところもあるから」な依存気味で。
それほど濃くはなくても消えないまとわりつづける闇に生活がむしばまれるのは、ゆっくりと人生を殺されていくようなものなんではないかと。
そしてDV男は殺すほどの人なのかの意見から、ひとつ自分なりに思い至った。
カールはフランクとその母親を暴力と抑圧から守ろうとした、でももしかしたらそれ以上に、カールはフランクに自分と同じ人間にはなってほしくないという思いが強かったんじゃないだろうか。
このままではいずれ自分と同じようにフランクは男を手にかけてしまうかもしれない。
そう思ったら、その可能性があるなら、自分が手を汚す、その選択と決断を考えるとどうにも頷けてしまう。
悲しいことだけど。
冒頭と最後は病院の場面で他の患者がカールに話しかけている。
どちらも下劣な内容で冒頭ではカールは黙って聞き流していた。
しかし最後の場面では、患者がフランクについて下品にからかうようなことを口にするや「二度と話しかけるな」と拒絶した。
カールに守りたいものができて、それは今も共にあるんだと。
見終えた直後はカールのその後に救いはあるのかと考えた。
でも今の自分が置かれた状況において何か暗く寂しく感じることがあるたび、フランクを同じような身の上にさせないよう少しの助けができたことを思えるんじゃないだろうか。
ラストのカールの表情を思い返すにせめてそうであってほしい。
視聴後にカールの役者(&監督&脚本)がドラマ版『ファーゴ』のマルヴォと同じビリー・ボブ・ソーントンと知ったけど、それはない、カールのときはアゴをしゃくり続けていたとしてもそれはない、と思った。
▼読書『今昔物語集』(角川文庫版)
読み終えた。
解説によると『今昔物語集』は謎だらけの本らしい。
編集の年次や編者や目的もわからず、六百年の間表に出ることなく歴史の闇に眠っており、研究者の目に止まったのは江戸時代の半ば頃だという。
既読のもの以外にも芥川龍之介や谷崎潤一郎が元ネタとした話が幾つかあったので、これを機に読んでみよう。
構成だけをいえばシンプルなだけに、見終えた後には「何を思えばいいんだ・・・」てなった(以下ネタバレ)。
少年時代に母親とその浮気相手を殺した主人公カールが、精神に障害を抱えていたため病院に入り、大人になってから退院。
もどった故郷の町で少年フランクと友人になり、大人たちにも受け入れられていくのだけど、結局フランクの母親の恋人であるDV男を殺し、病院にもどってEND。
なので終盤はもう、結局、え、結局そうなるの・・・いやでも・・・ああ・・・・・・
なので、なんだったんだ・・・と。
カールのこの物語はと。
視聴後考えてから、Amazonのレビューだけざっと見た。
DV男は殺すほどの人?って書いてる人がいた。
それもわかる意見で、男は犯罪者ではないしそこまで激しい暴力をふるっているわけでもない・・・
でもだからこそハッキリとした対処がとりづらい。
男は地元の警察とも懇意らしく、舞台も1996年の田舎町でこうした問題への対応や関心も大分弱そうだし。
母親も「でも優しいところもあるから」な依存気味で。
それほど濃くはなくても消えないまとわりつづける闇に生活がむしばまれるのは、ゆっくりと人生を殺されていくようなものなんではないかと。
そしてDV男は殺すほどの人なのかの意見から、ひとつ自分なりに思い至った。
カールはフランクとその母親を暴力と抑圧から守ろうとした、でももしかしたらそれ以上に、カールはフランクに自分と同じ人間にはなってほしくないという思いが強かったんじゃないだろうか。
このままではいずれ自分と同じようにフランクは男を手にかけてしまうかもしれない。
そう思ったら、その可能性があるなら、自分が手を汚す、その選択と決断を考えるとどうにも頷けてしまう。
悲しいことだけど。
冒頭と最後は病院の場面で他の患者がカールに話しかけている。
どちらも下劣な内容で冒頭ではカールは黙って聞き流していた。
しかし最後の場面では、患者がフランクについて下品にからかうようなことを口にするや「二度と話しかけるな」と拒絶した。
カールに守りたいものができて、それは今も共にあるんだと。
見終えた直後はカールのその後に救いはあるのかと考えた。
でも今の自分が置かれた状況において何か暗く寂しく感じることがあるたび、フランクを同じような身の上にさせないよう少しの助けができたことを思えるんじゃないだろうか。
ラストのカールの表情を思い返すにせめてそうであってほしい。
視聴後にカールの役者(&監督&脚本)がドラマ版『ファーゴ』のマルヴォと同じビリー・ボブ・ソーントンと知ったけど、それはない、カールのときはアゴをしゃくり続けていたとしてもそれはない、と思った。
▼読書『今昔物語集』(角川文庫版)
読み終えた。
解説によると『今昔物語集』は謎だらけの本らしい。
編集の年次や編者や目的もわからず、六百年の間表に出ることなく歴史の闇に眠っており、研究者の目に止まったのは江戸時代の半ば頃だという。
既読のもの以外にも芥川龍之介や谷崎潤一郎が元ネタとした話が幾つかあったので、これを機に読んでみよう。
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