ストリートタイガー純情篇
▼『ストリートファイターV』CPTジャパンプレミア

格ゲー配信ひさびさにじっくり見れた。
強く印象に残ったのはやはりROFバーディ。
この感じなんとなく覚えあるなー思ってたらチャット欄で「だしおっぽい」いわれててそれだーなった。


▼映画『男はつらいよ 純情篇』

1971年1月15日公開シリーズ第6作。

今作の寅さんは人妻(若尾文子)に惚れる。
そら無理だ。
別居中とはいえいきなりほぼ負け戦ではないか・・・思いつつ見る。
結果、旦那さんが迎えに来てあっさり帰ってったし。
旦那さんが寅さんになにか諭されるわけでもなく。
うむ。

この恋愛話に入る前、旅先の寅さんは長崎で幼子を抱いた女性・絹代(宮本信子)と出会う。
ごくつぶしの亭主から逃げて実家へ帰る途中であり、しかし金がないので宿賃を寅さんが貸すことになる。
同じ宿に泊まったその夜、絹代はせめてとの思いで寝床の前で服を脱ごうとするのだが、

「ちょうど、アンタと同じ年ごろの妹がいるんだよ。もし・・・もしもだよ?その妹が、ゆきずりの旅の男に、たかだか二千円ぐれえの宿賃でよ、その男がもし、妹の体をなんとかしてえなんて気もち起こしたとしたら、オレはその男を殺すよ」

と静かに言い寅さんは別室へ消える。
ほんとに、つくづく、この人こういうとこは格好良いんだ。
寅さんってきっと、こういうこと他でもたくさんしてるだろうなって思えるのがまた。
ほんとにこういうとこは。

そして結局寅さんは絹代の実家までついていってあげるのだけど、絹代の父・千造(森繁久弥)は旦那のもとへ帰れと言う。
自分はもう年だ、先は長くない、自分が死んだらおまえには帰るところがなくなってしまうんだぞと。
それでも旦那のところへ帰るのは嫌だという娘に、おまえが好きになった男だ、それなら何かひとつくらい良いところがあるだろう、それをおまえが育ててやろうという気持ちや覚悟がないようでは、どんな男と一緒になったところで同じだ、とつきはなす。

この親父さんの言葉は目からうろこだった。
今の時代、ネットのそういった相談にこんな感じで返したら総叩きにあいそうな気もする。
でもこの親父さんはきっと、娘を信じていたんだろうと思う。
娘の人を見る目や、強さを。
またその反面、いっときの弱さを見ていた。
人生に困難はつきものだ。
何かしらの困難に出くわしたとき、それと確かに向き合ったか、戦ったか、覚悟をもって挑んだか、といったことをあとで自分に問い、胸を張って答えられるようでなくては人生に思うような色はついていかない。
思い描く理想が漠然とでもあるなら、いつだって戦えるくらいの心構えでいれたらと思う。
自分にそんな強さがあるだろうか。
なければ身に着ける、そんなふうに生きることはできるはずだ。

寅さんも親父さんの言葉に感銘を受け、そうだいつでも帰れる場所があるからいけないんだ、だから一人前になれないんだ、俺はもう柴又へは帰らねえよ!!
といったんは口にしたものの結局は即帰ることに。
まあ寅さんの場合は十六のときに独り立ちして、そっから二十年も帰ってなかったんだから、そういうことではないと思う。
むしろ逆に故郷に定住したほうが・・・って思う場面が多々あるわけで。
むずかしいわ。

絹代については、寅さんがしっかりフラれたあと、正月のとらやへすっかり更生したらしい旦那と子供を連れて訪ねてくる。
いまでは夫婦共に同じ店で働いているといい、年賀状も出してなかったということで、とらやのすすめにより長崎の父親・千造のもとへ絹代が電話する。
そしてやり取りの後、電話を切った千造の目には涙があふれている。
その傍らには寅さんからの年賀状が置かれているのだった。

なんだかもう寅さんは、童話の「幸福な王子」のようだとも思えてしまった。
人様に善意を振りまいたり、幸福のきっかけを作ったりしながら、自分は思うような所帯も持てず、ただ歳をとっていく。
「夏になったら鳴きながら、必ず帰ってくるあのツバクロさえも、何かを境にぱったり姿を見せなくなる事だって、あるんだぜ」てなことを言ったりもするし。
しかしだからこそというか、やっぱり寅さんには、帰る場所があってよかったと思う。
寅さんが帰って来れてうれしいって思える、笑顔になれる場所がある、一緒にご飯食べたりけんかしたり心配したり心配されたりな人たちがいる、そうでなくては本当にただの「幸福な王子」になってしまう。

来年公開する新作で、もし寅さんが自分の人生をふりかえるようなセリフが出るなら、それはどのようなものになるんだろうか。

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