タイガーサンフランシスコ
タイガーサンフランシスコ
タイガーサンフランシスコ
▼映画『男はつらいよ 奮闘編』

1971年4月28日公開シリーズ第7作。

今作は弱めの知的障害をもつ少女・花子(榊原るみ)との物語。
特殊だった。
このとき寅さんの年齢がすでに40あたりで花子が20。
さらに花子の精神年齢が幼いから本当に少女のようで。
寅さんはそんな花子と「結婚する」と言うまでにいたるのだから・・・むずかしい。

寅さんが抱いたのは恋心だったのだろうか。
花子に「寅ちゃんのお嫁さんになる」といわれ、花子に同情し保護者感覚でいた寅さんは本当にうれしかったんだとは思う。
寅に釣り合うのはどこか足りない娘だろう、なんてふうにいわれて、そんなときに花子と出会って、純粋な好意を向けられて。

精神年齢のことをいうなら、寅さんもなかなか引けを取らないところはある。
だからもしかしたら、寅さんが恋愛をその先へ進めようと思いやすいのは、実際はこういった年頃の娘さんなのかなぁ、てなふうに見れるところもあったりはした。
しかしそれでもやっぱり、齢40のおっさんがこんないたいけな少女のような娘に・・・という点はいかんともしがたく・・・いや真の問題はそこではないのだけども。
二人の気持ちはごく純粋なものでしかないわけだし。
いや花子についてはその純粋さがまたややこしいんだな。

結局最後は、花子の一番の理解者であり恩師である田中邦衛が故郷の青森からむかえにくる。
そのとき寅さんはおらず、後で知った寅さんは、花子を連れていかせたさくらたちに激怒する。
そして自らも青森へ行き、そこで田中邦衛のいる学校の用務員として活き活きと働く花子を見て、彼女に自分は必要ないのだと悟るのだ。

個人的には、本当に花子という人間が好きだったのであれば、寅さんも青森で暮らしていけばいいじゃないか、などと思ってしまうのだけど寅さんはそうしない。
それってやっぱり、今回ばかりはひとりの女性に対してというよりは、結婚に対する憧れのが強かったんだろうかなと考えてしまう。
恋心は本当だとしても、結婚相手としては、どこまで考えてのことだったんだろうかと。
自分のよく知る柴又で、いたいけで純粋な少女のような花子を愛でる、それが寅さんの理想だったとして。
でも花子が故郷へ帰りたがっているのも知っていて、実際青森に帰った花子を見て寅さんはあきらめた。
花子が充実して生きられる場所と、自分の理想とが違っていたと知ったからだろうか。

ここまでくると、寅さんの恋が成就しないパターンはけっこう具体的に分類できるんだろうなと思えてくる。
今作でいえば「寅さんと相手の理想が違っていたパターン」みたいなことだろうし。
そうした場合、どちらかが妥協する、歩み寄る、といった選択肢はなく、ただ黙って即刻寅さんが身を引くだけだ。
なんでだ。
なんで自己評価が低いのに理想を妥協もしないんだ寅さんは。
どういうことだ。


▼映画『寄生獣』&『寄生獣 完結編』

なんとなく見た。
いつか見よーくらいに思ってて、何も今日見なくてもよかったんじゃ思ったけど、なんとなく。

結果、原作持ち出してすげー叩くこともできるけど、いやがんばったほうだろーとも言える感じ。
自分的には後者だった。
ひと昔前なら前者だったんだろうけど。
俺は実にそういう奴だったし。
今はだいぶ、もういいじゃんそういうの・・・カリカリするの疲れるし・・・なったけど、実際はあんま変わってないのかもしれない。

とにかく映像はほんとがんばってたというか、かなりよく見れたほうだと思う。
そら、原作から受けたここの印象はこうだったのに違う!みたいなとこあげればキリないけど。
まーそうか、そうなるか、くらいには見れたからいいんじゃね?って。

物語的には、まあ・・・原作とはいろいろ見せかたが別って考えるべきで。
前編でいえば、頭乗っ取られた母ちゃんの腕が新一かばったのはなんで?とか。
あーこの場面って演じた女優さん(余貴美子)がインタビューで、
「頭乗っ取られてもどこかに母の愛情が残ってるというのを意識した」
みたいに言ってて公開前に「ほんとに原作読んだの?」とか叩かれてたとこかーって思い出したり。

で実際ほんとにそういう場面になってて・・・
こんなん原作ならありえんだろ!ってとこだけど、例えば『シグルイ』読んだ人なら、ものを思うは脳髄だけにあらず、って考えがあるはずだから、筋肉とて人を恨むものだし、ものを思うはむしろ筋肉なのだからいいじゃん?ってなr・・・らねーよ!!!って。
さすがに。
そんな要素この映画では他にまったく出てこないわけだし。
だからこの映画見る人は事前に『シグルイ』読むのが必須で、むしろ原作は読むべきでないと私は思いました。

そして後編の完結編はまあ、もう、いいや・・・何が起きても、なってたのでより平常心で見れた。
この映画のセックスにそんな尺いる?をちょっと思ったくらいで。
いやまあ、生と死、生命を色濃く描くというテーマには沿っているのかもしれないけど。

ミギーについてはまあ、『寄生獣』史上最も親しみやすそうなミギーだった(アンソロジーのやつとかは別にして)。
声が阿部サダヲで、ちょっと早口で。
きらいじゃなかった。
ただ、新一との関係がそこまで濃密になっていると思えないまま、原作における両者間の重要セリフを言ったりするので、どうしても一部そこらへんは軽く聞こえてしまった。

素直に良かったと思えたとこは、料理のとこ。
新一とミギーでお味噌汁作る。
他は・・・・・・・
他は・・・・・・・・・・
・・・・・・
あー・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
ない。

でも、もろもろ覚悟しつつ見たいと思っているなら、見てもいいんじゃないって生意気ながらも言いたい出来ではあった。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索