天国への扉

2018年8月17日 趣味
天国への扉
▼小説『岸辺露伴は戯れない』

岸辺露伴スピンオフノベライズ2巻目。
1巻目同様よかった。
とくに最初の「幸福の箱」(北国ばらっど)。
出来としては現時点の個人的最高作に思う。
とにかく構成がよくできていて、要所でジョジョの絵が自然と浮かび、劇的な過激さと恐怖のあとにのこる悲哀、そして物語のテーマと”ヘブンズ・ドアー”の親和性にうならされた。

以前書いたようにこのシリーズは自分のホラーな物語に対する「抗えないからこそいい、でもときには一矢報いたい」な思いに程よいバランスで応えてくれる。
とくに「幸福の箱」では、その一矢が見事なまでの急所を射貫く。
痛快というほかない。

露伴は孤独な少年に見える。
当人はさびしさなぞ微塵も感じてないだろうし、頼れる友人もまあいるにはいる。
それでもその言動たたずまいはほとんど常にひとりだし、身には少年の魅力を帯びたままでいる。
露伴の孤独を思うとき、そこにネガティブな意味は感じない。

個人的に『Sunny』(松本大洋)の最終話で、不良少年ハルオが「大人があつかえる子」になっていたことにはショックを受けた。
それに反して岸辺露伴は大人や世間からの矯正を受けつけないまま大人になった。
頑固で生意気で偏屈な少年のまま大人になれたのが彼なのだと思う(そのせいで原作ではキツイお灸をすえられもしたけど)。
漫画の才能おかげだ。
”ヘブンズ・ドアー”を手に入れる前から漫画は彼にもたらされた類まれなる力であり世界に抗し得る武器だった。
だからこそ露伴は露伴であるために漫画を描き続けるのだろうと思う。

露伴のスタンド能力”ヘブンズ・ドアー”も良い。
他者を本にして記憶を読み、そして命令を書き込むこともできる。
チートかつファンタジーなのが良い。
ホラーな事柄に人間の知恵のみで対抗するのもいいのだけど、そういうの持ってるのオマエらだけじゃないから!!ってまた別世界からのファンタジーパワーを突きつけてやるさまがたまらない。
伝家の宝刀、奥の手、まさにジョーカー的な切り札な感じ。
それでいて限界も弱みもあるのがいい。
例えばこっそり遠方からスナイパーに狙われたら防ぎようもない。
ギリギリまでは普通の人間、現代ホラー小説の体裁を保ちながら、クライマックスに一転して逆転・・・まではいかずとも逆襲する。

とはいえ”ヘブンズ・ドアー”は自分にも命令を書き込める。
しかも物理法則をも超越できるっぽい。
もし露伴が自身に「ゴリラ並みのパワーを発揮する」みたく記述してそれが可能であればあっさり解決できたっぽい話もある。
どこまでできるのかが謎・・・だけどそのへんのあやふやさもそれはそれで『ジョジョ』らしい。
そのへんのさじ加減は作者と読者の各々で調整しつつ、皆で末永くこのシリーズを楽しんでいけたらいいと思う。


▼ドラマ『ザ・フラッシュ』

シーズン4第16話「走れ アイリス!」
新生フラッシュ(アイリス)誕生。
「メタヒューマンの能力を奪う&他人に譲渡する」能力をくらいバリーのスピードがアイリスへ移ってしまったのだ。
アイリスフラッシュは走ったとき発生する稲妻が紫でカッコイイ。
結局元にもどったけどアイリスフラッシュの活躍もう少しだけ見たかった気もする。

ラルフは好きになった人がデヴォーに殺され、ゆるぎない決意を前回手に入れたと思いきや・・・今回また妙にヒヨりキャラになってた。
脚本が安定してないのかなんなのか。
たしかにドラマを作りには便利なキャラなんだろうけど。

ハリーは打倒デヴォーのため、デヴォー以上の頭脳を得る装置を造る。
それってデヴォーと同じ道をたどっていることになるのでは・・・思うんだけど大丈夫なのだろうか。
デヴォーだって元は普通の人間だったのが賢くなりすぎてああなったみたいだし。
それともシスコはそこらへんも見越して対策しつつ装置開発を手伝ったのだろうか。

とか色々ツッコミどころはありつつも毎回あの手この手で楽しそうな話作ってくれるしありがたいよ。

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