ヘブンズ・ドアー
▼小説『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』

複数の作家によるジョジョ4部スピンオフノベライズ集。
期待どおりにいい。
いやいいわ。
今の原作者による『岸辺露伴』シリーズとはまたちがう良さがある。

荒木飛呂彦が露伴の物語を描けば、当然それはどうしたって純度100%の露伴シリーズとなる。
なにがどうであっても今の露伴はこうなのだってなるから。
でも別の人の手による露伴となると、下手な冒険はできないぶん、より大多数の読者のイメージに沿ったかたちで見せてくれるので、その意味での安心感はより強い。

内容を大まかにまとめていえばホラー小説アンソロジー。
日常に不可思議な非日常が入り込み、渦中の人物が翻弄され、破滅に向かうといったような。
一個一個がそういう小説として十分通用するようなネタばかり。
ただし渦中の人物がこの岸辺露伴でなければな!!といった。

もともと自分は短編の怪談怪奇ホラーものが好きだ。
読んでおびえて嫌な気分で読み終える、この世には人にはどうにもならないワケのわからないものがあるのかもしれない・・・そういうものを感じていたい。
だから基本はそういう形あってほしいんだけど、でも逆に、脅威には抵抗したい、そうした脅威のドヤ顔に一矢報いたい、って思いもあって、岸辺露伴はそれをやってくれるのがいい。
実に痛快。

たぶん露伴なら八尺様やらくねくねやら貞子やらなんて存在であっても、

うおおおおォォオオオオオオ『ヘブンズ・ドアァーーッ』!!!

・・・つって何かはしてくれるって期待感がある。
まあたぶん、この小説集でもそうだけど、根本的な解決はできなかったがなんにせよ自分は無事だった、てとこまでは持ち込んでくれる。
それってもう勝ちでしょって思うから。
ねじまげてくれる。
本当に話の基本形式がバトルでなくホラーものなので、最後の最後にだけそうしたチートをぶっぱなし、ハイギリギリなんとかしましたー!!!ってなるのがいい。
怖さと安心が絶妙に保たれたまま終わるバランスが。

2冊目が電子書籍でまだ出ていないので待ち遠しい。
このシリーズずっと続いてほしい。

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