ぼたん

2018年6月17日 趣味
『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』
1976年7月24日公開シリーズ17作目。
今作はまるでおとぎ話のようだった。
寅さんがたまたま世話したルンペンみたいな爺さん(宇野重吉)が実は日本画の大家で。
お礼にとさらさらっと描いた寅さんからみて落書きのような絵が七万円もしたものだから、寅さんはまるで爺さんを魔法使いか錬金術師のように思う。
そんでなんやかんやあって、旅先で知り合った芸者のぼたん(太地喜和子)が二百万円をだまし取られたことを知り、爺さんになんとかしてもらおうとする(まず自分でなんとかしようとしたけどどうにもしようがなく)。
爺さんよう、あのぼたんって芸者のために、ひとつ絵を描いてやっちゃくれないか、なあこのとおりだ・・・!
って。
このシーンがなんだか、童話で子供がこまった人を助けるため魔法使いにお願いするさまそのままのようで、どうにも健気としか言いようがなくて泣けてくる。

寅さんは建前というか通常の付き合いの上では粋な渡世人で、ある種の世間に長けた大人の立ち回りをする人なんだけど、実際本音の根っこの部分はあまりにも純粋な少年のままなものだから、そうした面で見せる不器用さのギャップが非常にもどかしく愛らしいんだなと改めて思った。

また今作で特殊に思えたのは寅さんがフラれないってこと。
マドンナは芸者のぼたんで、お互いに思いはあるはずなのに、それがはっきり破れるでも当然成就するでもなく終わる。
これはなんだか、お互い商売人としての人付き合いの器用さが、本音を伝える上では不器用さになってしまっている感じがして、おもしろくも切なくもある。
たとえば寅さんがぼたんを訪ねていったときなんかは挨拶代わりの冗談めかしに「おまえと所帯を持ちに来たんだよ」「いややわぁ寅さんったら」みたいにかわし、ぼたんが寅さん不在時に柴又を去ろうとしたときには「寅さん好きな人おるん?・・・おるんやろ。その人に、あたしからよろしゅう言うといて」てなことをさくらに伝えてフフっと笑う。
あのさぁ・・・いやお二方あのさァ・・・いやさくらもさぁ・・・・・!!!!って、見てて思う思う・・・・・・

ウメハラも『男はつらいよ』シリーズ好きで、しかもおすすめとして今作をあげていた。
もうすごい語りたい、ウメハラにとって俺なんかは相手不足だろうけど、でもすごい今作について語り合いたい。
ていうか誰と語り合ったって『男はつらいよ』好き同士なら盛り上がるはずで、めちゃめちゃ有名シリーズなのになんでこんなに周りに見ている人いないんだ。
おかしいだろ。
みんな普段何して生きてるんだよ。


『ザ・ファブル』
1巻から最新14巻まで読み直す。
ただ読みたいから読み直した。
おもしろいし何より「好き」って思えるこのマンガ。
知恵と工夫だわ。
趣味に山登りを取り入れることも視野だわ。

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